廃プラスチックを輸出入規制

2019年05月22日 |

  

 スイスジュネーブで開かれていた「バーゼル条約」第14回締約国会議で締約国は5月10日、汚れた廃プラスチックを新たな対象に加えることで合意、廃プラスチック(プラスチックくず)を締約国間の輸出入規制対象として、輸出国政府と輸入国政府との間で行われる事前通告・同意回答が必要な規制対象とする条約附属書改正を採択した。

これは2021年1月から運用が開始される。輸出入が禁止となるわけではないが、税関や輸出先国との間で非常に多くの手続きが必要になることから、廃プラの輸出にかかるハードルが極めて高くなることが予想される。今後は原則、国内で処理する必要性が増し、自国でのリサイクルを促す可能性がある。

バーゼル条約:有害廃棄物の輸出時の許可制や事前通告制、不適正な輸出や処分行為が行われた場合の再輸入 の義務等を規定した国際条約。

 バーゼル条約の正式名称は「有害廃棄物の国境を越える移動およびその処分に関するバーゼル条約」である。附属書で定める原則規制対象である「廃棄物であって「有害な特性を有するもの」を輸出する」場合には、あらかじめ、輸出国政府が輸入国政府に事前通告し、輸入国政府から同意回答を得ないと輸入できない。

 規制対象の「汚れた廃プラ」については、「環境上適正なリサイクルに適さないもの」としている。環境省によると、たばこの吸い殻が入ったPETボトルや食品残さがついたままの容器などである。

 

附属書

内容

主な改正内容

附属書Ⅱ (条約対象)

条約の対象となる「他の廃棄物」のリスト

附属書ⅧとⅨを除くプラスチックごみを追加

附属書Ⅷ (条約対象)

有害な廃棄物を例示するリスト

廃棄の経路や化学的性質などから有害な特性を示す プラスチックごみを有害廃棄物としてリストに追加

附属書Ⅸ (条約非対象)

条約の対象としない廃棄物を例示するリスト

リサイクルに適したきれいなプラスチックごみの範囲をより明確化

 規制対象の「汚れた廃プラ」については、「環境上適正なリサイクルに適さないもの」としている。環境省によると、たばこの吸い殻が入ったPETボトルや食品残さがついたままの容器などを例としてあげている。

汚れた廃プラの輸出は事実上、難しく

 日本からバーゼル条約の規制対象を輸出する場合、条約に基づく輸入国の同意に加え、輸入国に日本国内と同等の処理体制がないと輸出を認めないことが、国内法令で定められている。輸出先のアジアなど途上国で日本と同じレベルの処理体制の国はほぼなく、日本からの汚れた廃プラの輸出は事実上、難しくなる。

 


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