太陽光パネルの廃棄 費用積み立て制度化へ
2019年05月20日 | トピックス
太陽光の主力電源化にむけて
経済産業省資源エネルギー庁は4月11日太陽光発、太陽光発電設備の廃棄等にかかる費用を担保する制度の原則や今後の方向性を明らかにした。
再生可能エネルギー(注1)の主力電源化に向け、太陽光発電施設の廃棄対策はおおきな課題の一つとなっている。
太陽光発電設備の廃棄処理の責任は、廃掃法に基づき、排出者(太陽光発電事業者、解体事業者等)にある。発電事業が終了した時点で設備の解体・撤去及びそれに伴い発生した廃棄物の処理に係る費用(以下「廃棄等費用」という。)が確保されていれば、放置・不法投棄されるリスクは少ないということが義務化検討の背景にある。
FIT法(注2)では、制度創設以来調達価格の中に、廃棄等費用を織り込んだ価格としているが、実際は59%が積み立てをしていないという状況にある。こうした中、2018年4月から廃棄費用の積み立てを努力義務から義務化にした。さらには、その積立計画と進捗状況の報告自体も義務化した。
同省「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」は以下のような方針を検討した。
① 原則として 費用負担調整機関が源泉徴収的に積み立てを行う方法による外部積立を求める
② その上で長期安定発電の責任・能力を担うことが可能と認められる事業者に対しては、内部積立を認めることも検討する
ワーキンググループでは、今後関係者などへのヒアリングを実施。太陽光発電事業者や解体・廃棄・リサイクル関係者、などの意見も踏まえ、制度設計に取り組む。
注1、「再生可能エネルギー(Renewable Energy)」とは
非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(エネルギー供給構造高度化法)においては、「再生可能エネルギー源」について、「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」と定義されており、政令において、太陽光・風力・水力・地熱・太陽熱・大気中の熱その他の自然界に存する熱・バイオマスが定められている。
「FIT(フィット)」とは、
「Feed-in-tariff(フィードインタリフ)」の頭文字を取った言葉で、日本語では固定価格買取制度と訳されている。
この制度は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーからつくられた電気を、国で定めた価格で買い取るように電力会社に義務づけるための制度で、ドイツ(1991年)やスペイン(1992年)ではすでに導入されており、日本では2012年に制定され、2017年4月より改定されている。
なぜ、この「FIT」制度が開始されたのか
日本は、世界でも有数のエネルギー消費国でありながら、エネルギー資源がかなり少ない国でもある。そのため、現在の日本の主なエネルギー源である石油、石炭、天然ガス(LNG)は、どうしても輸入に頼らざるを得ず、現在の日本のエネルギー自給率は、わずか7.4%。約93%ものエネルギーを海外からの輸入に頼っていることになり、国内でのエネルギー自給率の向上が課題のひとつとなっている。
また、石油、石炭、天然ガス(LNG)などの化石燃料は、発電時のCO2排出量が問題視され、再生可能エネルギーは化石燃料と比較してCO2排出量が大幅に低いため、地球温暖化対策に有効な手段のひとつとして注目されている。
この2つの背景と目的により、再生可能エネルギーは注目され、FIT制度が開始された。対象となる再生可能エネルギーは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの5つ。このいずれかを使い、国が定める要件を満たす事業計画を設定し、計画に基づいて新たに発電をはじめる方が対象となっている。
参考文献:経済産業省資源エネルギー庁より
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