家電等の粗大ごみ・不用品を無料回収『無許可回収業者』の実態
2017年12月22日 | コラム
環境汚染の原因になる?無許可回収業者を利用しないで!
家電や粗大ごみを捨てるのは一仕事です。2001年に施行された『家電リサイクル法』により、家電を廃棄する際に費用が掛かるようになりました。
「できれば、誰かに運んでもらいたい」「お金も手間暇もかけずに処理してしまいたい」
そう思う人の心に漬け込んで、無許可回収業者は活動しています。
しかし、絶対に無許可回収業者を利用してはいけません。「タダより高い物はない」の言葉通り、無料だからと無許可回収業者を利用することによる私たちの損失は甚大なものです。
無許可回収業者とはどのような業者のことを指すのか、なぜ禁止されているのか。順番にご紹介していきます。
無許可回収業者はこのような形で活動しています
無許可回収業者は、もちろんのこと「無許可回収業者です」とは名乗りません。一般的な廃棄物回収業者と同じようにふるまいます。そのため、一見して無許可回収業者とわからないかもしれません。
無許可回収業者の多くは、以下の2つの宣伝方法を利用して顧客を獲得しようとしています。
- 町中を大音量で巡回
- 空き地で回収
上記2つの宣伝方法で不用品を回収している業者は、ほとんどが無料で回収業者です。家の近くまで来てくれてラクだからと利用したくなるかもしれませんが、やめておいた方が賢明です。
それ以外にも、以下の2つのような宣伝をしている無許可回収業者も存在しています。
- チラシを配布
- インターネットで広告
上記2つの宣伝方法の場合、許可を取得している正規の廃棄物回収業者がこうした宣伝をしていることもあります。
見分け方としては、電話番号が固定電話であるかどうか、『一般廃棄物処理(もしくは運搬)』の許可を得ている、もしくは許可を得ている業者から委託を受けていることが明記されているかどうかです。
産廃処理業・古物商の許可があっても『無許可回収業者』
無許可回収業者とは『一般的廃棄物処理の許可を持っていない業者』のことを指します。他の廃棄物関連の許可を持っていたとしても意味がありません。
家庭から出る家電などの粗大ごみは『一般廃棄物』に該当するため、『一般廃棄物処理の許可』、もしくはその委託(一般廃棄物処理の許可を業者を持っている業者から運搬等の作業を任せる)が必要です。
無許可回収業者の多くは、産業廃棄物処理、もしくは古物商の許可を持っているから無許可ではないと言い張ります。しかし、これらの許可だけでじゃ一般廃棄物の処理、運搬はしてはいけません。
これらの許可を提示した場合、間違いなく『無許可回収業者』でしょう。
産廃処理業・古物商の許可を振りかざす無許可回収業者が多い理由
なぜ産廃処理や古物商の許可で、一般廃棄物を処理しようとする業者が多いのか。それは、一般廃棄物処理の許可がなかなか下りないからです。
産廃処理・古物商の許可は、一定のルールを守れば簡単に取得できるものです。対して一般廃棄物処理の許可は、行政の許可が必要になります。
現時点で、一般廃棄物処理業者が事足りている行政がほとんどであり、新しい業者に許可を出す必要がありません。そのため、一般廃棄物処理の許可を取ることが難しくなっています。
廃棄にお金を払わなければならなくなった家庭から出る一般廃棄物。多くの人は「できればお金を払いたくない」と考えています。
そこに漬け込み、「無料で回収」を謳うのが無許可回収業者のやり方です。
古物商は不用品の買取を行うための許可
古物商の許可とは、不用品を買い取り、それを再販売したりするための許可。いわばリサイクルショップなどを営むための許可となります。
個人同士で不用品のやり取りは許可がなくても行なって構いません。それを仕事として活動する場合、古物商の許可が必要となるのです。
粗大ごみの引き取りは一見して『不用品の引き取り』であるように見えます。もし本当に不用品を引き取って、古物として販売しているのであれば違反ではありません。
しか古物商の許可を使って不用品回収をしている業者のほとんどは、このような商売をしていません。無料と宣伝しておきながら「売れない物だから」とお金を要求してきます。
無許可回収業者を使ってはいけない理由
無許可回収業者が問題とされている理由は、引き受けた廃棄物を適正に処理しないという点です。不法投棄、不適切処理、不適正な管理による火災などの事例が環境省に報告されています。
無許可回収業者がお金が儲かると言われている
無許可回収業者が後を絶たないのは、お金が儲かると言われているからです。実際には、無許可回収業者が儲かるのではなく、回収した物を違法に扱うことでお金を儲けることができます。
不用品をどのように利用するかの違いはありますが、無許可回収業者は間違いなく、自己の利益のみを追及します。結果、環境汚染が進んでしまっても、無許可回収業者は気にしません。
環境を汚染するような不適切処理をして、不要な部分は不法投棄。そしてお金になる鉄くず等の資源だけを販売する場合もあります。
しかし、どの手段にしても違法である上に、莫大な利益になるかと聞かれるとそうとは言えません。未来を切り売りする価値はありません。
ゴミ屋敷の片付け・遺品整理の業者にも無許可回収業者がいる
このようなわかりやすい無許可回収業者だけでなく、ゴミ屋敷の片付けや遺品整理の業者にも無許可業者(一般廃棄物処理業の許可を持っていない)がいます。
ゴミ屋敷の片付け・遺品整理の業者も、産廃処理業の許可では活動できません。一般廃棄物処理業の許可が必要となります。
産廃処理業・一般廃棄物処理業両方の許可を持っている場合であれば問題ありません。
>ゴミ屋敷の片付け業者については「ゴミ屋敷の社会問題化。実家の片付けに産廃業者を呼ぶ時代の到来」を参照してください。
廃棄物処理に必要なコストを掛ける重要性
ごみを捨てるためにお金を掛けなければならないということに納得がいかない人もいるかもしれません。無償で捨てられる時代を知っていた人であればなおさらでしょう。
しかし、そうした廃棄物の不適切処理時代にさまざまな環境汚染問題があったことを忘れてはいけません。歴史に残る公害病の数々は、お金を掛けずに産廃を不適切に処理し、環境汚染が進んだ結果です。
水俣病など、公害病の悲劇を繰り返さないためにも、廃棄物を適切に処理するためにコストを掛ければければならない時代が来ています。
産廃マニフェストも、産廃排出事業者からすれば面倒なひと手間かもしれません。しかし、産廃マニフェストで産廃の動きを管理することによって、産廃の不法投棄や不適切処理が確実に減少してきています。
金銭面にしろ労働面にしろ、産廃等廃棄物の処理に必要なコストを投じることによって、確実に環境汚染の抑止になっています。
※当ページの画像は環境省HP「廃家電や粗大ごみなど、廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」を加工して使用しています。
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